韓国で面会交流(韓国語:면접교섭)の申立てを検討している日本人の方から、当事務所には「離婚後に子どもに会えなくなった」「相手が面会を拒否して連絡すら取れない」というご相談が増えています。韓国 面会交流 申立ては、手続き・審判基準・不履行時の対応など、日本とは異なる点が多く、専門的な知識が欠かせません。

韓国でも民法第837条の2に面接交渉権(면접교섭권)が明文化されており、日本の面会交流と同様の権利が保障されています。ただし、申立ての方法、裁判所の判断基準、強制執行手段など、制度の細部は異なります。本記事では、在韓日本人向けに韓国での面会交流(面接交渉)の申立てから審判確定まで、韓国弁護士が実務的な観点から解説します。


韓国の面会交流(面接交渉権)とは

韓国民法第837条の2第1項は、「子を直接養育しない父母の一方と子は、相互に面接交渉することができる権利を有する」と規定しています。この権利は子の権利であると同時に、親の権利でもあります。

韓国大法院(最高裁)は2021年12月16日の決定(2017스628)において、次のように判示しています。

「面接交渉権は、親と子の親密な関係が離婚後も継続されるよう保護し、子の情緒的安定と円満な人格発達を実現することを目的とする制度である。家庭法院は、原則として面接交渉を許容すべきであり、漠然とした懸念を理由に面接交渉自体を排除することには慎重でなければならない。」

— 韓国大法院 2017스628(2021年12月16日)

この判決は、「子との絆が薄い」「相手が強く反対している」といった理由だけでは面接交渉を拒否できないと最高裁レベルで明確に示したものです。


韓国 面会交流の申立て手続きと審判の流れ

韓国で面会交流(面接交渉)の申立てを行う場合、家庭法院(가정법원)に審判を請求するのが基本的な流れです。

① 管轄裁判所

多くの場合、子の住所地・普通裁判籍を基準に管轄家庭法院を検討します。ただし、既存の離婚・養育事件の有無、履行命令か新たな面接交渉審判か、子の実際の居住地によって確認が必要です。具体的な管轄については、申立て前に弁護士に確認することをお勧めします。

② 申立書の記載事項

申立書には、申請人(面会を求める親)と相手方(子を養育している親)の情報、子の情報、求める面接交渉の内容(頻度・時間・場所など)、面接交渉が必要な理由などを記載します。日本語の書類は原則として韓国語訳を添付する必要があります。

③ 調停と審判

家庭法院では、事案の内容に応じて調停手続きと審判手続きが選択・組み合わせられます。当事者間で合意の見込みがある場合は調停が活用されることもありますが、必ずしも調停を先に経なければならないわけではありません。在韓日本人の場合、言語の壁から手続きへの対応が難しいことも多く、代理人弁護士の関与が強く推奨されます。

④ 審判の期間

期間は事案によりますが、数か月単位を見込むことが多く、相手方が強く争う場合、送達・調査・通訳等の事情により長期化することがあります。


審判で面会交流が認められる基準

家庭法院が面接交渉を審判する際の最優先基準は「子の福利(자의 복리)」です。子の年齢・健康状態・意思、親子間の絆、養育環境への影響、面接交渉を求める目的などが総合的に考慮されます。

大法院 2017스628 決定では、判断要素として以下を列挙しています。

  • 子の年齢、健康状態、面接交渉に対する意思
  • 面接交渉を求める親と子の間の絆・親密度
  • 面接交渉を求める目的・意図
  • 現在の養育環境との適合性(養育者との葛藤を招くか否か)
  • 面接交渉を求める親の過去の非行・児童虐待等の前歴

重要なのは、「子との親密度が低い」という理由だけで面接交渉が排除されるわけではない点です。同判決は「親密度の低さは面接交渉を積み重ねることで改善できる。面接交渉の機会を奪うことは制度の趣旨に反する」と明確に述べています。


面会交流の制限・排除が検討される場合

民法第837条の2第3項は、「家庭法院は子の福利のために必要な場合、当事者の請求または職権で面接交渉を制限・排除・変更できる」と規定しています。

以下のような事情がある場合、制限・配慮が検討されることがありますが、実際の判断は子の福利・危険の具体性・安全確保策・面接方式の設計などを個別に総合して行われます。

主な考慮事情 裁判所の対応(例)
児童虐待の前歴 排除や第三者立会付きが検討されることがあります
アルコール・薬物依存 回復・治療状況を踏まえ個別事情により判断
子が強く拒否(年齢・成熟度・拒否理由を個別に考慮) 段階的・間接的な方法が調整されることがあります
国外連れ去りのリスク 安全確保策を踏まえた方式や場所の調整が検討されます
単なる養育者の反対 排除の理由にならないとされています(大法院 2017스628)

在韓日本人の案件では、「いつ日本に子を連れ去るか分からない」という相手方の主張が出ることがあります。この点については、安全確保に向けた条件設計とともに、弁護士を通じた適切な反論の準備が重要です。


面会交流命令の不履行と対応手段

審判で面会交流(面接交渉)が認められたにもかかわらず、相手方が拒否するケースは珍しくありません。韓国法にはこのような場合の対応手段が用意されています。

① 履行命令と過料

家事訴訟法第64条第1項に基づき、家庭法院は当事者の申立てにより履行命令を発することができます。履行命令に従わない場合、家事訴訟法第67条により1,000万ウォン以下の過料が問題となります。

韓国大法院は2022年11月15日の決定(2022으564)で、履行命令を発する際には原則として事前に当事者を審問しなければならず、公示送達等で相手方が手続きを知らなかった場合は特別抗告を認めると判示しています。

② 間接強制の検討

事案によっては、別途、民事執行法上の間接強制が検討されることもあります。ただし、面接交渉の内容が裁判上十分に特定されているかどうか等により、利用可能かどうかが左右されます。どのような対応手段が適切かは、個別の状況を踏まえて弁護士と検討することをお勧めします。


日韓の面会交流制度 比較

比較項目 韓国 日本
根拠法令 民法第837条の2 民法第766条
申立て方法 家庭法院への審判請求
(事案により調停も活用)
家庭裁判所への調停・審判
判断基準 子の福利を最優先
(大法院 2017스628)
子の利益を最優先
不履行時の対応 履行命令 → 過料(家事訴訟法第67条)
民事執行法上の間接強制も検討余地あり
履行勧告、履行命令
間接強制
祖父母の面会交流 一定の要件下で、非養育親側の直系尊属(祖父母等)にも申立てが認められる場合があります(民法第837条の2第2項)。親が死亡・疾病・外国居住等の要件と子の福利審査が必要。 2024年法改正で祖父母の申立て規定を新設
手続き言語 韓国語(通訳・翻訳が必要) 日本語

在韓日本人ならではの困難

在韓日本人の面会交流(面接交渉)申立てには、特有の難しさがあります。第一に、すべての手続きが韓国語で行われます。第二に、相手方が「子を日本に連れ去るリスク」を主張すると、面接交渉の方法や場所について調整が入る可能性があります。第三に、子が韓国の学校に通っている場合、学校行事や習い事のスケジュールとの調整が必要になり、現実的な面接交渉内容の設計に専門的な知識が求められます。

こうした複合的な問題に対応するには、韓国の親権・養育権の基本を理解した上で、面接交渉の申立てを進めることが重要です。また、養育費の問題とあわせて検討する場合は、韓国における養育費請求の手続きも参考にしてください。


なぜ弁護士への相談が必要か

面接交渉の審判は「手続きを出すだけ」では解決しません。審問期日での陳述、面接交渉の具体的な内容設計、相手方の主張への反論、不履行時の対応策など、一つひとつに法的な判断が必要です。当事務所では、日本語での初回相談を承っています。

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여해법률사무소(ヨヘ法律事務所)— 韓国国際結婚・日韓離婚専門


Pyoung-ho Kim 弁護士 (キム・ピョンホ)
韓国弁護士、司法試験合格、司法研修院第43期修了。
韓国弁護士協会 家族法専門弁護士登録。2021年 優秀弁護士賞受賞。
2015年以来、500件以上の事件を担当。